果報は寝て待て!
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オリジナル小説/コメディ/A5PDF 一般的な(やや体力馬鹿寄りな)中学生・橘 真と、自称・天才科学者の幼馴染 水谷耀子とのほのぼの日常エンタメ。
オリジナル小説/コメディ/A5PDF
一般的な(やや体力馬鹿寄りな)中学生・橘 真と、自称・天才科学者の幼馴染 水谷耀子とのほのぼの日常エンタメ。
果報は寝て待て!
橘真は、寒空の下を走っていた。といっても、何かに追われているとか、急ぐ用事があるとかではない。冬休みというのは、彼にとっては一年で一番ヒマな時期なのだ。なにせ、他の長期休暇と違って補習授業が無い……。 「町内を三周したし、今日はこれくらいにしておくか」 ジャージの内側は、大分汗をかいていた。 「昼は何にしようかな」 真は、つらつらと昼食のメニューを考え始める。 そのうち、我が家が見えてきた。 地味で小ぶりな建売住宅と、大きな注文住宅がアンバランスに並んで建っている。真の我が家は、ちっちゃい方の家……。 その家の玄関先に、一人の少女が座っているのが見えた。 理知的な美人。真と同じ中学に通うクラスメイトで、ついでに隣人でもある幼馴染・水谷耀子だった。 真は呼吸を整えながらペースを緩め、耀子の前で止まった。 「なんだよ、耀子」 耀子は真を見上げた。濡れたような黒く美しい瞳に見つめられて、真は少しドキッした。 「マコト……」 彼女は、ミニスカートから伸びたほっそりした素足を、手でさすっている。随分ここで待っていたのだろう。 「な、なに? 何か、大事な話がある……とか?」 耀子は頷いた。肩まで伸びた漆黒の髪が、さらりと揺れる。